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「原発のウソ」信じられる?③

小出裕章氏の「原発のウソ」 感想3回目(多分最終回)です。



今回は、小出氏の主張のなかで私atomicloveがどうしても理解に苦しむところをあげさせていただきたいと思います。

【大いに気になった点①】

第六章 地震列島・日本に原発を建ててはいけない

この章で小出氏は世界有数の地震国・日本に原発を建てた問題点等を指摘しています。
そして近い将来起こるとされる東海地震(震源域に浜岡原発が立地)の破壊力を読者にわかりやすく示してくれるために…

(引用)
それでは、予想されている東海地震はどのくらいの破壊力をもっているのでしょうか。地震が放出するエネルギーの量を広島原爆の威力で換算してみましょう。



この

 巨大地震の放出エネルギーを広島原爆何発分に換算してみるところ

私atomicloveにはその必然性がさっぱりわかりません。

このたびの東北地方太平洋沖地震(M9.0)のエネルギーは広島原爆29,000発分
史上最も大きかった1960年のチリ地震(M9.5)は、広島原爆16万発分だそうです。

100万歩ゆずって「原発」と「原爆」を比べるならば、同じ核分裂反応のエネルギーだから多少は意味はあるのかもしれません。
でも、「地震」と「原爆」とでは全然違うっしょ。
かたや岩盤の崩壊や断層の移動の形での放出だろうし、かたや光線や熱線、放射線なんかの形の放出だろうし。

エネルギーだから詳しい計算式はわかりませんが換算はできるのでしょう。
だけど換算できるから換算してみた、以上のどんな意味があるのでしょうか?

(引用)
東海地震はM8~8.5、あるいは最近だと9もありうると言われています。浜岡原発の直下で原爆が3万発近く爆発するということが、近い将来かなりの確率で起こりうるわけです。




【大いに気になった点②】

山口県上関町に建設が進められている(福島原発の事故を受けて、工事は中断中)中国電力上関原子力発電所で原発事故が起きたら…の被害シミュレーションが載っています。

kaminoseki.jpg

(引用)
 ここで原発事故が起きたらどういう被害が出るか…中略…プログラムで計算してみました。その結果を皆さんにお示しします。
 チェルノブイリと同じ規模の事故が上関で起きた場合、いったいどのくらいの人たちが急性障害で死ぬのかを検証してみましょう。上関原発から半径7.7kmの範囲では99%の人が急性障害で死にます。祝島はすっぽりと入ります。つまり、全員が死んでしまうということです。
…中略…
ただし、この図に示された範囲の人たちが、同じ確率で死ぬとは限りません。…中略…汚染は風の向くまま気の向くままに広がります。風が東に流れていけば柳井市・周防大島方面の人たちが死ぬわけだし、北に流れていけば、光市の人たちが死ぬことになります。…




この「原発のウソ」は20万部を突破したらしいですが、

この本をお読みになられた皆さんは、このくだりを何の疑問も持たずに素直に受け取れましたでしょうか?

私atomicloveには全く受け容れることができません。

まず、私が問題だと感じるのは、どんな計算方法に基づいたプログラムなのか、パラメーターには何を入れるのかなどの情報がなにも示さないままに、結果だけお示しされちゃう点です。
かろうじて読み取れる条件らしきものは、“チェルノブイリ規模の事故の場合”という漠然としたものだけ。

あのチェルノブイリだって急性障害では亡くなっった人は、直接原子炉の消火活動にあたった兵士や消防士31人なのですよ。

どんなにすごいプログラムなのか知りませんが、パラメータに出力100万kWとかなんとか入れたら、それっぽい同心円を引くだけのお絵かきプログラムなんじゃないの?(地図とコンパスさえあれば描けるじゃん)と疑ってしまいます。

政府と東京電力は、生データを速やかにすべて開示すべき(その点は同意します)、そうすることで多くの人の目でチェックできるから、矛盾や隠蔽、測定ミスや解釈の間違いといったことが発見できる、とご自身でおっしゃっていたではないですか。

そのわりに、ご自分は、前提条件も計算方法も何も明らかにしないプログラムのセンセーショナルな結果だけを出していますよね。それは検証と言いません。
おまけに、このプログラムは風向きとかはなんにも考慮してないから、実際の死亡確率は分からないよ、と示した結果を即ひっくり返している。

これが、良識ある科学者が専門知識の少ない一般の人向けに語る態度でよいのでしょうか?

私は決して小出氏のプログラムの結果がウソだと言いたい訳ではありません。
ウソかホントかもこのままでは判断できません。
信じたいから、自分の頭で考えて判断できるように、結果だけでなく条件や導出過程もちゃんと示して欲しい、ということを言いたいのです。


【ささやかな疑問点】

あと大変細かいことなのですが、気になるので書いておきます。

最臨界は起きたのか?のくだりで出てくる「クロル38」という物質。
なんでも放射性を持った塩素のことらしいのですが。

質量数38の塩素のことですよね。だったら「塩素38」でいいと思うのですが。

ふつう「塩素」は「えんそ」ですよね。「クロル」と呼んでいる日本人はあまりいないと思いますが。
塩素の放射性同位体だけ物質名を外来語読みする慣例でもあるのでしょうか?

一時期再臨界が取り沙汰されていたとき、ネットに「クロル38検出」が出回って違和感を覚えていたのですが、小出さんの表現が元だったのかも知れませんね。


【大学職員のポストについて】

これは小出氏の責任ではないのですが、小出氏のことを紹介している他の方の文章で、彼のポストが助教授に化けているのを何度か目にしました。
現在の学校教育法では“助教授”という職階はありません。「助教」は昔の「助手」です。

学校教育法 第92条によれば、大学の職員 は、学長、教授、准教授、助教、助手、事務職員 のようです。他に、副学長、学部長、講師、技術職員、その他必要な職員も置けるそうです。

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Mr.Atomiclove

Author:Mr.Atomiclove
核・原子力と科学全般とちょっとミリタリーが好きな理系くずれ。
職業は一応半導体関連のエンジニアやってますが、理工系の道を選んだことを深く後悔しています。

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